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正社員に応募する人に読んでほしい記事一覧

「才能があると言われました」とはいうものの

「才能があると言われました」とはいうものの
これまた皆さんの応募の際に「当然だろう」と特段言いもしない事があるのですが、貴方は、「才能あるね」と言われた事や「わたし才能あるし」とか「わたし手が器用なんです」とか思っていますか? 「わたしまだ本気出していないし」とか思ってますか?長い事現場に身を置いてると、意外と「才能の測り方について知らない」人が多い事に気が付きます。そして、才能がありもしないのに、磨きもしないのに、美術工芸の現場に立ち入るのは、銃も持たずに、その銃の手入れもせずに戦場へ行くようなもの、一人前の私達でもその様な人達を守りながら戦うのは難しいのだと言う事を理解してほしいです。
例えば、貴方が美大出の22歳だとします。そうすると貴方はこれまで、小学生の時にはクラスで1番絵が上手で中学生の時には、美術が得意な子とクラスメイトにも先生にも認知され、大学入る頃には学年でも1、2を争うほどに美術工芸の技能・知識に長けていました。と、ここで周りを見渡たしてほしいのですが、美大には、貴方同様の人しかいませんよね?クラスで一番だったのに、学年でTOPだったのに、上のクラスに行けば行くほど「そんなの当然」になります。それでも先生は褒めてくれるし才能あると言ってくれます。貴方が学費を払う限り先生はそう言うポジションを崩さないからです。
ではこの先はどうですか? その才能ある人たちの集まりの中での貴方のポジションはどうでしょうか?その中でも上手ですか?この事実を問うたことありますか?あなたの在籍する学校の他にも美術工芸科のある学校は無数に存在します。貴方が入学できなかった学校、難関学校では、貴方の想像もつかないような才能を持った人たちが、さらに恵まれた環境で切磋琢磨していると想像できますか? そんな才能の塊のような人達の中にすら「作家になるのを諦めたくなった」「あの才能を目の当たりにしたら自分で作るのが嫌になった」と言う人が絶えないと言う事実を知ってますか? 今貴方がキャリアを諦めずに自分に自信を持ち続けていられるのは、「そう言った化け物の様な才能を持つ人たち」を目の当たりにした事が無いからじゃないですか?
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思い返してください、貴方がクラスで一番絵が上手ともてはやされてる影で、2番3番だった子たちが居た事を。どんな思いでいたでしょう。貴方が大学入る頃にその陰で、「あ~あんくらいの人たちが美大に行くんだなあ」と、美大への進学を諦めた人達が居たかもしれないと想像した事がありますか?どんな気持ちで別の道を選択したのでしょうか。
「将来作家になりたい」「自分のアトリエを持ちたい」貴方は、10代20代の若くして既に競争の渦中にいるんです。年に何千人も何百人も作家になれますか?アトリエ持てますか? 貴方は特段の才能を持ちそれを磨いた人ですか?美大出れば作家になれますか?アトリエ持てますか?貴方が特段の才能を持ち磨きに磨いた人であるならば答えはイエスです。美大出たとかでないとか、歳すらも関係ありません。若かろうが何だろうがお金になる人の事を周りが放っておかないからです。(若くして作家デビューを果たす才能が集う代表的なジャンルと言えば、漫画出版系ですね。ヒットすれば10代20代で何億も稼ぐ先生になります。)
貴方の同世代で特段に才能がありそれを磨きに磨いた人は若くして作家デビューを果たしました。では、貴方はどうでしょう?やはり作家を目指しますか?それとも就職を希望しますか?いずにせよ、美術工芸業界に身を置く事はできますし、年齢制限などありません。しかし、であるからこそ、単純な事実として知って欲しい事があります。
周りに才能のある人が居なければ居ない程、貴方の自信は揺らぎません。貴方が鈍感であればあるほど貴方の自信は確固たるものたり得ます。貴方が30歳になっても40歳になっても作家になる事を諦めずにいられるのは、この業界に入りもせず遠くから憧れていられるのは、同業者から失笑される程に稚拙な技能でもって作家と名乗れるのは、経済力を背景に作家を装えるのは、特に労もなく今のポジションに治まり平然としていられるのは、そう言った想像力すらなく、「低いレベルでちやほや」されて来たからです。貴方の才能が乏しければ乏しいほど、才能ある人に出会わなかったのです。
ですから、美術工芸の現場を目指すあなたに「今」言いたい。学生時代にこそ、社会人になってから出来ないような「1日100個挽いて100個削る」「1日3枚デッサンする」「1日13時間楽器弾く」なんて事をやるべきです。今のあなたの1年間は、社会人になってからの「10年間」に匹敵すると考えてください。卒業後の40年と、大学時代の4年間は ≦だと思ってください。  え?え?そんなの聞いてないよと思った貴方、もし許されるなら、貴方の父や母などに、もう1年留年するなどの「戦略的留年」をお願いしてみてください。今からでも遅くはないです。社会人になってからその事実に気が付いて「職場をやめて学校行きなおす」だとか、「フリーターしながら作家目指す」だとか、無駄です。無駄なんです。遅いんです。今この4年間に時間を捧げられない人が、すでにそれに捧げる人に追い付け追い越すなど、ムリゲーなのです。おわてマス。例えそんなんで作家になれたなどと言ってみても、 あなたを慕う弟子とかアシスタントに昭和初期の給料しか渡せずに、キャバクラをハシゴするくらいにしか稼げないのです。
スポーツ競技、芸能、サラリーマン、公務員、飲食業、起業、どの業界でも同様ではないでしょうか。サラリーマンで言えばまず、課長になるのも大変なうえに、部長になるなんて、ましてや役員、社長になるなんてのはとても大変なことです。スポーツでもそうです。市の大会で優勝しても県大会で優勝せねば全国大会に出れません、オリンピックで金メダル取るのは全国大会を勝ち抜いた世界各国の猛者の中でも一人だけです。どの業界でも「上に行けば上に行くほど才能があり磨きに磨いた人のみが残りさらに選抜されてゆく」この単純な事実を受け入れる事が貴方の人生のどこかのタイミングで訪れるのです。その事実に気が付くのが遅ければ遅いほど才能に乏しいのです。
驚くような才能を目の当たりにして絶望しつつも、それでもなお、自身に与えられた才能を磨き続け、これまでのキャリアの損切をせずとも、業界の「端くれ」で居続ける事のできる「場所」。私達はそんな場所を守りたいと考えてます。貴方がその居場所を作り守る事に共感できるのであれば、私達は貴方の事を歓迎したいと思います。
(ちなみにこの記事を書いている私は、5歳から、東京藝大出身でピアノ教師の母と、その父(藝大出て大学教授で作曲家・LP何百万枚も売った)にピアノを仕込まれ、14歳で始めたギターを25歳でドロップアウトし、元々大好きだったフィギア造形スタジオを経て35歳で陶芸工房主となり45歳で会社化を経て、しゃちょしてます。(おおよそ10年おきに脱皮して変化してるので、55歳が楽しみですw)この間、嫌というほど才能を見て絶望もしましたし、誰もが出来ない様な経験もしました。だからむしろ「才能を持ちそれを磨く人」を仲間だと思ってますし、大好きです。この動画は、やめてから20年触れる事のなかった楽器に、子供が生まれてやっぱり音楽を授けたいなと思い、こびり付いた錆を落とすべく再びトレーニングを再開し始めた時の動画です。
この動画のハイライトでエレキギター神スティーブ・ヴァイがヴァイオリン神ニコロ・パガニーニへオマージュした曲を耳コピしてるのですが練習なので筋肉に負荷をかけるべくテンポ早めに弾いてます。