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ほけきょ庵の焼き物アレコレ
極渋の黒 炭化焼き締め 黒船焼き
・本物をお求めの貴方に■炭化焼き締め・黒船焼き
ほけきょ庵の陶芸体験作品の焼き上がりの1つに「炭化焼き締め・黒船焼き」がございます。
黒い焼き物といいますと、古い順に、黒天目(室町期)、瀬戸黒、黒楽、(桃山期)と続きます。黒天目は黒い宝石のようなツルピカの焼き物で大陸よりの伝来品、同時代の日本においては先進技術過ぎて焼かれませんでした。続いて、時代を経て技術の発達した瀬戸の職人が天目を模倣し焼き始めるにつけ、日本人の感性が呼び覚まされたがごとくツルピカは鳴りを潜め、渋く燻したような焼き上がりを求めるようになります。これが「引き出し黒・瀬戸黒」です。桃山期の茶人、千利休がさらにそれを推し進め「黒楽」と言う詫び寂びの極地がごとく激渋な黒い焼き物を大陸から呼寄せた陶工に作らせました。ここに黒い焼き物は頂点を極めます。これが黒い焼き物の表の歴史です。
この流れとはまったく別の流れの黒い焼き物が存在します。
技法の成立の過程で「これ」という説はありませんが、おそらくはこうであろう事を書き上げて見ますと。穴窯などで日本の伝統的な「焼き締め」の器を焼くときに、薪をくべるのですが、この際に燃え尽きた薪が炭と化す過程の「燠(おき)」と化し、それらに器が埋もれる箇所があります。この場所は穴窯の中でも特等席で、この場所において焼き上げた自然釉の焼き物は炎と土の神様に愛されたかのごとく、時として神々しいまでの窯変を合間見せることがあります。
・サヤと呼ばれる容器に炭と共につめ焼き上げます。
伊賀焼き・備前焼などでは、この黒く炭化した箇所を「焦げ」と呼び景色の一つとして尊びます。この「焦げ」をさらに推し進め、様々な技法とノウハウを持って器全体を炭化させ、真黒くいて、なおかつ一切のツルピカの無い、「極渋」な焼き上がりを目指したもの。これこそが、ほけきょ庵の炭化焼き締め・黒船焼きの目指した物です。
穴窯などで、昔ながらの焼き方でこれらを焼き上げようとしますと4~6割は割れたり窯に張り付いたりと、故にこれらの焼き物はどうしても数が出回らず高価な物となってしまいますし、割れたり張り付いたりでは皆様の作品がお手元に届かなくなってしまいます。
これらのデメリットを解消する手段として、現代窯の中にこの「灰被りの燠」状態を再現する手法を試み、安定して不安定な焼き物を焼く技術とノウハウを蓄積、成功させました。
陶芸体験教室・陶芸教室レベルの焼き上がりにおいて、並ぶべくも無い焼き上がりを追求するほけきょ庵が、「手間とコストと時間」をかけて、この「極渋」の焼き上がりを皆様に提供します。
出来上がりました陶芸体験作品は、様々な工程を経て約2~3ヵ月後にお届けいたします。貴方がデザイン・整形した器を「極渋」に焼き上げてみませんか。その器の持つ存在感に圧倒されるはずです。
・伊豆下田の黒船
■炭化焼き締め使用上の注意点
・使う前に
炭化焼き締めは土の粒子が粗く、施釉もされていないため水漏れすることがあります。そのため使用前に、大きな鍋などに器を入れ、水を張り、小麦粉やお米を入れて沸騰させます。そうすることで、器面がコーティングされ水漏れしなくなります。
・洗い方
焼き締めは表面がざらついているためタワシでゴシゴシ洗って汚れを落とします。そしたら布巾で水分を拭き取り、乾燥してから食器棚にしまいます。汚れや水分が残ったままの状態が続くとカビの原因になります。ささいなことですが、このようなことに留意して、長く器とお付き合いして見てください。